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どうして男女の性は決定するか—これに関する古人の分性説
小林 茂雄
pp.68-71
発行日 1955年9月1日
Published Date 1955/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200924
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イ.男女性の分れる原因
同じ父母から生まれる子供であつて,男女の別があるのは,何ういう理由であるか,言葉を換えて申すならば,男女性の決定する原因が,若しも遺伝であるとすれば,世間には男ばかり生む親と,女ばかり生む親とある筈であるが,(実際はそういう親もあるけれども)多くは入れちがいで,兄弟姉妹が一家の中に,生まれて来るのである.従つて男が生れようと,女が生れようと,そればかりは人力では,何うすることも出来ないのである.
それで男となり,はたまた女となるのは,天の使命という外に考えようがなく,宗教家の如きは,之れを神に帰して,何事も神の意志と信じたのは,無理もないことと思う.しかしながら昔でも,医師や哲学者,科学者の中には,宗教説以外に,男女性の別れる原因の研究に沒頭した者が多くあつた.其の説を歴史的に敍述して見るのも,極めて興味あることと思うので,ここに其の概要を記すことにした.
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