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お産に関する傳説(4)
小林 茂雄
pp.36-38
発行日 1954年9月1日
Published Date 1954/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200687
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お産と粥杖
例えば祖先に偉大な力のあるものが有ると,其の力がその祖先の遺した物品にまで,存すると信じて之れを崇拜するが如きである.粥の呪力の移つた粥杖をとうとんだのは,野蛮時代には無理もなかつたと思う.
この粥杖の呪力は,いろいろの方面に渉つているが,此れを要するに,生む呪力を有するものとして,新婦を孕ませお産の時には邪気を抜つて,安産することに使用されたのである.まだ旧暦を用いている片田舎に行くと,この遺風が残つている.それと共に粥杖を果実にまで及ぼした古典式を行うところもある.
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