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アメリカ人の衣・食・住—(No. 3 住生活の巻)
瀬木 三雄
1
1東北大学公衆衛生学
pp.46-51
発行日 1955年7月1日
Published Date 1955/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200886
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今度米国に行つてみて,この国でも最近住宅建設に大童である事を知つた.戦前にはなかつた沢山の小住宅—小住宅といつても日本に持つてくれば相当のものであるが—丘をこえ野をこえて,アメリカ式の直線式配置方法で並んでいるものもあれば,大仕掛けに目下建設中というものもある.又高層アパート群も沢山できつつある.かつての貧民街はとりこわきれてそのあとにアパートが建つて,もとの人々を吸收しているところもある.
米国でも住宅は1個建の小住宅とアパートの2種類になつている.尤もこれは公的の住宅政策として建つているもので,各自が個人的に各自の趣好に基き建設する住宅はこの他に大小さまざまあるわけである.住宅政策についての余り詳しい事は聞かなかつたが一個建小住宅は市が建て,これを月賦方法で売却するようなものが多いらしい.日本のように公庫から金を借り,各自思い思いのままの家を建てるのではなく,既に建つてしまっている家を買うのである.金額は日本の観念からするとかなり高い.まず普通の家は700万円乃至1000万円位であり,これが米国公営建設住宅の売却値段である日本の人の経済水準では手の出る人は全く少い.尤も20年位の長い月賦で買うのであるから月々の額は大した事はない由であるが,20-25%位の頭金の調達には矢張り相当苦心するという話である.土地代はこのうちに含まれているが,このような分譲住宅には余り広い庭園などはついておらない.
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