講座
妊婦と榮養—(その3)
中津 幸男
1
1愛育研究所母性保健部
pp.58-61
発行日 1955年5月1日
Published Date 1955/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200853
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7.無機塩類
無機塩類は骨格や歯等の硬組織の主成分であり,又他の有機物と化合して軟組織即ち筋肉,皮膚,臓器,その血液,淋巴等の主な固形分となつ居る.又組織液や溶解性塩類として筋肉,神経組織に弾性や刺戟感受性を与え,或は消化液や分泌液を作つたり,その働きを正常に保ち,或は組織液の酸性やアルカリ性反応を正常に保つ.又滲透圧を調節し,血液の凝固作用を促進させる.
妊娠時は胎児の体を形成するため必要で,胎児体重の約9%は無機塩類より成ると云われ,コーンス氏等はそれ等のうちカルシウムは33.37グラム,燐は18.68グラムが含まれて居ることを指摘した.それ故妊娠時は食物より多量の無機塩類を摂取する必要がある.
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