綜説
妊婦榮養に關する綜説(その2)
塚本 胖
1
1愛育研究所母性保健部
pp.107-110
発行日 1953年2月10日
Published Date 1953/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200792
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6妊娠時の含水炭素代謝
含水炭素は生體内では主としエネルギー給源として利用されるが,糖質の種類,性別等によりその利用率を異にする。Cori (1928) Croen (1937)は實驗的に糖質の種類により腸管の撰擇性が違うことを,Greisheimer (1931)は動物實驗で雄は雌より肝グリコーゲン量が多く脂肪量は少いと,又Deuel,Gulick (1933)等は絶食中のアセトン排出量が女子は男子よりも多いことから,炭水化物代謝には雌雄の性別で根本的差違のあることを報じている。更に,Russel (1936)は腦下垂體に,Evansは副腎皮質にも夫々血糖量及びグリコーゲン形威作用を調節する作用のあることを認め,從つて炭水化物の利用はインシュリンの生産によつてばかりでなく,腦下垂體,副腎皮質,或いは性腺,甲状腺等によっても影響を受けることが次第明らかとなつた。
一方,含水炭素過剰攝取の有害作用として中川は含水炭素に富み脂肪,蛋白質の少い食餌を攝ると,體組織内に水の過剩蓄積が起り,その結果浮腫を惹起し,又體内脂肪の過剩沈着も見られ筋肉の發達が障碍されると述べ,瀨田(1931)は妊娠母體動物に多量の炭水化物を與え,胎仔にアチドージス性骨變化の起るのを報告している。
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