講座
新生兒の死亡とその主要原因—(その1)
村松 稔
1
1国立公衆衛生院衛生人口学部
pp.56-61
発行日 1955年3月1日
Published Date 1955/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200814
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今月号と来月号の2回にわたつて,新生兒の死亡という問題について少しくわしくお話ししてみたいと思います.ふつうこの新生兒の死亡は生後1年未満の死亡(乳兒死亡)の中での1つの項目として扱われる位で,これだけをとり出してくわしく書かれたものはあまり多くはないようですが,しかし,以下にも述べるように,最近は生れてまもなくのこどもの死亡について次第に多くの注意がはらわれるようになつて来ています.新生兒という生後すぐのこととなると,主として妊産婦のことを対象とする産科の領域と,小兒全般を扱う小兒科の領域との丁度境目にあたつていて,時とするとどっちつかずのような感じが強いものです.大きな病院で各科の先`生がいつもそろっている所とか,すぐ近くに産科の先生も小兒科の專門医もいてくれるというような場所は別として,非常に多くの場合,母親から生れたての赤ちやんにいたるまでをずつとつずけて世話をされるみなさん方,助産婦さんが,新生兒にとつて一番身近かなたよりになるのは專門家なのです.そういう意味で,殊にみなさん方にはよく新生兒死亡のことを知つておいていただきたいと思います.ただ臨床的な1つ1つの病気の処置のことは,大抵一通りは御存知と思いますから,ここでは主にどんな原因が一番多いのか,又新生兒死亡の数や率はどうなつているのかなどの統計に中心をおきながら述べてゆくことにします.
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