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社會保障制度の話
今岡 健一郞
1
1中部社会事業大学
pp.28-32
発行日 1954年1月1日
Published Date 1954/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200522
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言葉の意味 「社会保障」という言葉が使われるようになつたのは,大量の失業者をかかえて困り果てていたアメリカが,1935年に「社会保障法」という法律を作つてからのことです.我国では戰後新憲法第25條に,「凡ての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する.国は凡ての生活部面について,社会福祉,社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と規定きれて以来,この「社会保障」という言葉が広く使われるようになりました.
社会保障制度とは,この憲法の條文からわかるように,全国民の最低生活を国家が保障する制度であつて,具体的にいえば,出産前後一定期間出産手当を,又分娩費として一時金を支給する制度とか,病気になつた時無償で診療の受けられる健保(疾病)保険とか養老年金(恩給)とか,或は夫が急死しても未亡人が何とか生活できるようにという寡婦手当又は年金などのような,各種のいわゆる社会保険と,これら社会保険があつてもどうしても自力で生活できない人々のための生活保護(国家扶助又は公的扶助ともいわれます)とそれから一般国民の福祉増進の爲の諸施策を一丸とした制度のことをいうのです.
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