講座
血液の話
三好 和夫
1
1東大冲中内科教室
pp.19-23
発行日 1953年11月1日
Published Date 1953/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200476
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はじめに
汗や尿等と並んで,血液の話を書くのが,この文の目的であるが,しかし,一概に血液といつても,これに含まれる範囲は非常に広い.例えば,血液中の形のある成分である赤血球や白血球の形態に関する部面も一方面であるし,赤血球の型,いわゆる血液型についても,並大程ではない.また,最近臨床的に問題になつている輸血についても,これのみで一学問を形成する程膨大な事項が積重ねられている.換言すれば,血液に関する学問,すなわち血液学が,最近はこれ程膨脹してしまい,これを勉強するわれわれも,まつたく戸惑いするありさまだといえる.そこで本文では,私は話を臨床的に最も卑近な二,三の事柄に限つてしまいたいと思う.
むろん血液は,血球(赤血球,白血球,血小板)と血漿からなり,これが身体中の血管の中を瞬時も止ることなく循環している事実は周知のこととして話を進めたい.
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