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中世における出産の行事
石原 明
1
1横浜医大
pp.34-36
発行日 1953年8月1日
Published Date 1953/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200412
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いずれの民族においても医術のうちで外科と産科はもつとも早く発達した.わが国でもすでに神話時代に産室が作られ,助産婦か存在したことが知られており,また産褥熱などの伝染性疾患さえも古くから知られていた.出産ということはその民族(狹義にいえば家族)の繁栄を示すひとつのしるべであるから,古代からすこぶる重要な意義ある事件と考えられ,從つて出産の際に無事を祈るいろいろな行事がおこなわれた.
出産の行事は平安時代になるといろいろな信仰的要素や迷信やらが混入して,なかばマジナイのようになつたが,これをおこなうことによつて産婦は元気づけられ,家族も精神的に何らかの頼もしさを与えられたのである.
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