講座
分娩時出血の豫防と處置
古賀 康八郞
1
1弘前大學
pp.21-23
発行日 1952年3月1日
Published Date 1952/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200057
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分娩時には胎盤剥離面の血管が斷裂して出血を來すが,胎盤娩出後には子宮は收縮して血管は壓縮され凝血を生じて自然に止血する。その他軟産道に表在性の裂傷を生じて小量の出血がある。之等の全出血量は約200乃至500瓦位が普通で母體に大した影響はない。しかし何等かの異常があると大量の出血を來し短時間のうちに母體の生命を脅かすことが稀でなく,分娩介助に當つても最も不幸な事件であつて困惑することが多い。勿論これ等異常のあるときには速かに醫師の處置を乞わねばならないが,寸刻を爭う大出血を傍觀することなく許された範圍の處置を以て一應止血法を構じておくことが助産婦としての義務である。分娩時出血の原因は多種多様であって,目或は手指のとゞかない處にあるため診斷處置は必ずしも容易ではない。こゝにその主なものについて助産婦として行い得る豫防及び處置法を述べる。
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