講座
母兒免疫
眞柄 正直
1
1日本醫大
pp.8-11
発行日 1952年3月1日
Published Date 1952/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200052
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近頃,母兒免疫という言葉がちよいちよい見られるようになりました。殊に小兒科の雑誌などに百日咳の豫防に關連して,時々この言葉が見受けられます。それでは,母兒免疫というのはどんな意味なのでしようか,これは實は,12,13年前に私がつけた名前でありまして,必ずしも適當な名前とは思えませんが,妊娠中の母親に免疫注射を施して,その母視も胎兒も一擧に傳染性の疾患に對して抵抗を得さしめる方法を意味するのであります。これは近頃流行のように,アメリカでやつていることをまねしたのでもなく,また,アメリカ語を譯したのでもなく,私達が日本で獨自に行い,われわれがつけた名前なのです。しかしこの12,3年來,日本では,あまり顧みられなかつたのが,最近アメリカなどで盛んにこの方法が實施されるようになつたので,再び日本に逆輸入された感じがあるのです。
それではこの母兒免疫の豫防方法はどんな傳染性の病氣の豫防に應用されるかと言いますのに,そのうちでも最も意味のあるのは,破傷風,百日咳,天然痘,ヂフテリア,結核又は,化膿性の病氣などであります。
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