今月の言葉
專任教員の進歩
pp.7
発行日 1952年3月1日
Published Date 1952/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200051
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終戰後我國公衆衞生の輝しい進歩が連合軍の支援による處大なるは否定し得ない。しかし今や大潮の引く如く我國に進駐したこれらの人々も,本國に去つてしまい,數年前の多忙の時代が夢の如く茫乎として記憶のうちに薄れゆこうとしている。助産婦の仕事に懇切な支援を惜しまれなかつたマチソン孃をはじめ,多くの人々の往來が,今は懐しい想い出のうちに殘ることとなつた。時の經過とともに,これらの人人の殘したもろもろの記念物も,再び本來の日本のものに置き換えられてゆくであろう。敗戰という切ない想出の消え去るとともに,再び自由の日が吾々を訪れようとしている。
占領軍當事者の吾々に殘し去つたもののうちには我國にこれを永く殘して全く妥當なものも決して少くない,しかしあるものは更に改善して進歩の道程に發足せしめる方が妥當のものもある。この進歩のたえまない時代に於て「固定」せしめるのが正當であるというものは少い。換言すれば今や幾多の事柄を再檢し,更に改善すべき時期に至つているといえよう。
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