扉
信・認・任
甲村 英二
1
1神戸大学脳神経外科
pp.1265-1266
発行日 2003年12月10日
Published Date 2003/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436902470
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夏は暑く秋は涼しくなるのが世の常であるが,筆者の居住している関西では,例年になく涼しい夏を過ごしたかと思うと,9月になると一転して厳しい残暑の日が続き,10月に入れば例年を下回る気温である.様々な過去のデータを分析して天気予報が出されているにもかかわらず,異常な気象に天気予報の的中率が下がり苦情が多く寄せられたそうだ.野球の世界では,18年ぶりにリーグ優勝を決めた球団で関西,いや全国的に大きな経済効果が出ると予測されている.シーズン開幕前にファンは毎年優勝を期待しているが,どのくらい多くの解説者がこの球団の優勝を予測していただろうか.豊富なデータをもってしても成り行きや未来を正確に予測することは容易ではない.タイムマシンに乗って未来を覗くことができれば百発百中のはずだが,どうであろうか.
毎年新人が研修のスタートを切るが,彼らの将来を予測できるかと問われれば,目標は立ててもどのような医師になるかを予測することは不可能であると答える.若手医師の指導教育は新米教授の筆者にとって,悩み事でもあり,また楽しみでもある.外科系の伝統である徒弟制度もon the job trainingという意味では悪くはないが,全員に押しつけることには問題がある.時代錯誤と批判され,落ちこぼれが続出する恐れがある.旧来にも増して適切な指導を行い各個人の能力を高めて,チーム,組織としての能力を向上させる必要がある.
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