Japanese
English
実践講座 パーキンソン病治療の新しい展開・2
薬物療法
Pharmacotherapy of Parkinson's disease
野川 茂
1
Shigeru Nogawa
1
1東海大学医学部付属八王子病院脳神経内科
1Department of Neurology, Tokai University Hachioji Hospital
キーワード:
運動合併症
,
ウェアリング・オフ現象
,
ジスキネジア
,
continuous dopaminergic stimulation
,
neuroprotection
Keyword:
運動合併症
,
ウェアリング・オフ現象
,
ジスキネジア
,
continuous dopaminergic stimulation
,
neuroprotection
pp.1205-1212
発行日 2024年11月10日
Published Date 2024/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552203265
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
1960年代にWalther BirkmayerやGeorge Cotziasらによりレボドパ(Levodopa:L-dopa,L-ドパ)がパーキンソン病(Parkinson's disease:PD)に臨床応用され,本疾患の予後は劇的に改善した.そのときの様子は,英国の神経内科医であったOliver Sacksが著した小説を映画化した「レナードの朝(Awakenings)」によく描かれている.主人公は,嗜眠性脳炎によるパーキンソニズムで長い間臥床状態であったが,レボドパにより日常生活を取り戻すことができた.しかし,その後,激しいジスキネジアが出現し,主人公は苦悩の日々を送ることになる.
今日でもPDの薬物治療のゴールドスタンダードはレボドパ補充療法であることに変わりはなく,レボドパ治療が継続できれば生命予後は健常人より2,3年短いだけとされる.しかし,レボドパによる運動合併症を起こしやすい若年者では,ドパミン・アゴニストやモノアミン酸化酵素(monoamine oxidase B:MAO-B)阻害薬による治療が優先される.また,最近では高齢でのPD発症も多く,認知機能障害,歩行障害・起立性低血圧による転倒やそれに伴う骨折,嚥下障害による誤嚥性肺炎や体重減少などが日常生活動作(activities of daily living:ADL)を大きく損ねる原因とされている1).本稿では,歴史的な背景を含めて基本的なPDの薬物治療について述べ,運動療法併用の重要性についても触れてみたい.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.