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はじめに
膝関節は人体で最大の関節であり,さまざまな動作の静的・動的安定性に寄与している.スポーツ障害,変形性関節症,関節リウマチなど,日常診療において遭遇する機会が圧倒的に多いため,診療にあたって詳細な解剖の知識が必須である.
本稿では,変性疾患およびスポーツ障害において頻度の高い病態を中心に,病態と核磁気共鳴画像法(magnetic resonance imaging:MRI)での読影のポイントをまとめ,リハビリテーション治療場面で荷重制限を考慮すべき所見について概説する.
膝関節のMRIでは,軟骨,半月板,靱帯,軟骨下骨の損傷や形態の評価に加えて,滑膜炎,関節液の有無の評価が可能である.一般的に,軟骨の形態評価は脂肪抑制T1強調像で行う.半月板損傷に対してはT1強調像,プロトン密度強調像,T2*強調像などの感度が高く,T2強調像は特異度が高い.靱帯は正常ではT1強調像およびT2強調像で低信号領域として描出されるが,損傷がある場合には線維の膨化や内部の出血を反映して高信号域として描出される.
軟骨下骨の損傷(bone marrow lesion:BML)は,脂肪抑制T2強調像で高信号域として描出される.BMLは線維化,海綿骨の微小骨折あるいはリモデリングなどの病理学的変化を反映しており,疼痛と強い関連があることが報告されている1).そのため,荷重部においてBMLが存在する場合には荷重制限を考慮する必要がある.
滑膜炎は,一般的にガドリニウム造影MRIで明瞭に描出されるが,一般臨床において侵襲的な造影検査をルーチンで撮影することは現実的ではなく,脂肪抑制T2強調像や脂肪抑制プロトン密度強調像で評価する.この際,滑膜炎と関節液はともに高信号として描出されるため鑑別しにくく,膝蓋下脂肪体内の脂肪抑制T2強調像での高輝度変化が滑膜炎所見とみなされることが多い.
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