Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「いつでも夢を」—定時制高校生徒・卒業生への差別を告発した昭和の歌謡映画
二通 諭
1,2
1札幌学院大学
2札幌大谷大学
pp.543
発行日 2024年5月10日
Published Date 2024/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552203121
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2023年前期,NHKBS放送で2013年の連続テレビ小説「あまちゃん」が再放送された.年配の登場人物たちがしばしば歌うのが「いつでも夢を」.言わずと知れた橋幸夫・吉永小百合の1962年レコード大賞受賞曲であり,両人に浜田光夫を加えて映画化された「いつでも夢を」(監督/野村孝)は,1963年1月に公開された.前年の「キューポラのある街」は,吉永演じる中学3年生の石黒ジュンが入学先として定時制高校を選択したところで終わっており,吉永を定時制高校生とする本作には,続編的な趣もある.
本作には,89分という尺数ながら,橋・吉永の「いつでも夢を」はもちろん,橋の「潮来笠」,「おけさ唄えば」,「北海の暴れん坊」,「若いやつ」,吉永の「寒い朝」,浜田の「街の並木路」が挿入されている.歌さえあれば,大きな仕掛けもいらず,低予算で済むという歌謡映画の本領が発揮されているのだが,それゆえに等身大の若者を描くことにつながり,若者の置かれた状況を伝えることになったのである.
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