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特集 高齢下肢切断のリハビリテーション
義足パーツの進歩
Progress in lower limb prosthetic parts
中村 隆
1
Takashi Nakamura
1
1国立障害者リハビリテーションセンター研究所義肢装具技術研究部
1Department of Prosthetics and Orthotics, Research Institute, National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities
キーワード:
固定膝継手
,
立位安定性
,
義足装着
Keyword:
固定膝継手
,
立位安定性
,
義足装着
pp.1077-1082
発行日 2023年10月10日
Published Date 2023/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202949
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はじめに—高齢下肢切断者のための義足パーツ選択
近年の義足パーツの進歩は著しく,高機能化・多機能化の流れは止まりそうもない.高齢下肢切断者用義足パーツにおいてもその渦中にある.一般に高機能といえば,高活動な切断者が非切断者と同様のパフォーマンスに近づけるようにするための機能と認識されていたが,低活動な高齢下肢切断者が増えるにつれ,低活動の切断者が義足適応となるためには高機能なパーツが必要との認識が広がり始めている1).
高齢下肢切断者用義足のパーツに必要な条件としては,軽量であること,ソケットの着脱を含めた操作が簡便であることが最優先事項として挙げられる.例えば,重量に関しては,アルミニウムや熱可塑性プラスチックなどの材料を使用すること,できるだけ単純な機構のパーツを使うことで軽量化が図られる.ただし,最も簡単な構造であっても通常下腿義足であれば1.2〜1.3kg,大腿義足は3kg程度と限界はある.軽ければ軽いほど良いと思われがちであるが,義足の重量を感じるのは装着時に手に持った時や階段昇降などの上下方向の運動時であり,平地歩行では義足は振り子として作用するため,ある程度の重量は許容されるべきと考える.むしろ,義足重量に負けない下肢筋力が義足歩行の適応条件となるであろう.着脱に関しては,高齢者の場合,上肢機能が適応判断の際に重視すべき点である.握力と巧緻性の低下はソケット形式の選択に大きな影響を及ぼす.
このように,高齢下肢切断者には特有のパーツ選択基準がある.本稿では高齢者下肢切断者の義足に必要な条件を踏まえながら,義足パーツを概観する.
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