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はじめに
小児リハビリテーションの対象となる児は,生まれて間もない早産児や低出生体重児,重症心身障害児,神経発達症児など年齢・疾患ともに多岐にわたる.その中でも近年,人工呼吸器や胃瘻などを使用し,痰の吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要な“医療的ケア児”と呼ばれる児童は増加傾向にある1).この傾向は周産期医療の進歩や高齢出産の増加による影響が関連しているとされる.2020年時点で,約2万人の医療的ケア児が在宅にて生活を過ごしており,この10年間で約1.5倍となっている2).
2015年に行われた,「在宅医療ケアが必要な子どもに関する調査」3)の報告では,介護・見守りなど時間的拘束にかかわる負担がある,断続的にしか睡眠をとることができない親が一定数いることを指摘している.加えて,2019年の「医療的ケア児者とその家族の生活実態調査」4)において,主たる介助者が日々の負担を軽減するために必要なサービスとして,訪問による在宅ケアや未就学児の療育・発達支援に対する回答の割合が高かった.
また,全国の訪問看護ステーションの総数は,2022年時点で12,985事業所となっており,この10年間で約2倍となっている5).このことから,訪問看護ステーションが提供する在宅サービスへのニーズが高いことが予測される.
その一方で,医療的ケア児が在宅生活を送る上での問題点として,重症度の高い小児を受け入れる小児科診療所・在宅療養支援診療所・訪問看護ステーション・介護施設などの社会資源が乏しいことが指摘されている6).また,医療ニーズの高い小児に対する訪問看護師の在宅ケア実践において,① 単独での看護ケアの実践,② 適切な時期の受診の促進,③ 予測できない急変時の対応,④ 小児特有の知識やスキルの体得,⑤ 母親との関係づくり,⑥ 多職種との連携の促進において困難さがあるとされる7).これらを踏まえると,小児訪問看護(以下,訪問看護)のみならず,小児訪問リハビリテーションの実践に難しさを感じている療法士も一定数存在する可能性がある.
そこで,今回は小児専門の訪問看護ステーションであるリニエ訪問看護ステーションキッズ世田谷(以下,当事業所)が実践している,最新の知見に基づく多職種での取り組みについて紹介する.
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