Japanese
English
症例報告
採血後に前腕から手指の感覚障害と運動麻痺の訴えがあり手根管症候群と診断した1症例
Needle-stick injury of the median nerve or carpal tunnel syndrome?: a case report
井上 菫
1
,
江副 賢生
2
,
松嶋 康之
1
,
佐伯 覚
1
,
蜂須賀 研二
3
Sumire Inoue
1
,
Masataka Ezoe
2
,
Yasuyuki Matsushima
1
,
Satoru Saeki
1
,
Kenji Hachisuka
3
1産業医科大学医学部リハビリテーション医学講座
2公益財団法人大分県地域成人病検診協会おおいた健診センター
3独立行政法人労働者健康安全機構九州労災病院門司メディカルセンターリハビリテーション科
1Department of Rehabilitation Medicine, University of Occupational and Environmental Health
2Oita Health Evaluation and Promotion Center
3Department of Rehabilitation Medicine, Moji Medical Center, Kyushu Rosai Hospital, Japan Organization of Occupational Health and Safety
キーワード:
針刺し
,
正中神経損傷
,
手根管症候群
,
外側前腕皮神経損傷
,
神経伝導検査
Keyword:
針刺し
,
正中神経損傷
,
手根管症候群
,
外側前腕皮神経損傷
,
神経伝導検査
pp.657-661
発行日 2023年6月10日
Published Date 2023/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202854
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要旨 症例は高齢女性.採血時に右前腕から手指の疼痛,しびれなどの感覚障害および運動麻痺を訴え,同日整形外科医の診察を受け,正中神経損傷疑いならびに手根管症候群疑いと診断された.その後,多様な症状を訴えたが実生活では支障を認めなかった.神経伝導検査では,前腕部の運動神経と感覚神経の伝導速度は正常であり,刺入部での神経損傷は否定された.一方で患者は手根管症候群の既往を否定したが,過去のカルテに手根管症候群の診療歴があり,この件を指摘後は症状を訴えなくなった.病態としては採血時に外側前腕皮神経に何らかの損傷を生じ,既存の手根管症候群の体験と結びつき,複雑化した症状を呈したと考えた.採血後に正中神経領域の障害を訴える場合,手根管症候群の既往も念頭に置く必要がある.
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