Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
渋沢栄一の『青淵回顧録』・2—児童精神医学者としての側面
高橋 正雄
1
1筑波大学
pp.584
発行日 2023年5月10日
Published Date 2023/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202836
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わが国資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一は,昭和2年に刊行された自伝『青淵回顧録』(角川書店)の中で,「日本屈指の一大慈善事業として知られている」養育院に院長としてかかわるようになったときのことを述べている.
明治5年に創立された養育院は,当初上野の護国院の建物を修繕して運営されていたが,初めて実地視察した渋沢は,「その実状を見て全く情けなく感じた」.というのも,「上野の養育院には風癲,白痴,発狂者等いずれも混同しており」,すこぶる乱雑をきわめていたからである.
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