Japanese
English
特集 転倒 どう防ぐ?
認知症への対策
Care management for patients with dementia
鈴木 みずえ
1
,
金森 雅夫
2
Mizue Suzuki
1
,
Masao Kanamori
2
1浜松医科大学医学部看護学科臨床看護学講座
2立命館大学スポーツ健康科学部スポーツ健康科学科
1Clinical Nursing Lecture, Department of Nursing, Hamamatsu University School of Medicine
2College of Sport and Health Science Department of Sport and Health Science, Ritsumeikan University
キーワード:
認知症
,
BPSD
,
リスク評価
Keyword:
認知症
,
BPSD
,
リスク評価
pp.397-407
発行日 2023年4月10日
Published Date 2023/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202800
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はじめに
人口の高齢化に伴って認知症高齢者の数は増大し,2013年6月に厚生労働省は認知症高齢者が462万人になると推計し,さらに軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)も含めると862万人とされ,これは高齢者の4人に1人が認知症に直面することになる1).認知症高齢者はそうでない人に比べて8倍転倒しやすいと報告2)されており,認知症の進行に伴って脳神経障害に関連した歩行障害・バランス障害から転倒が引き起こされるだけではなく,向精神薬の使用,焦躁・徘徊などの認知症の行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)からも転倒が引き起こされるなど多様な要因が複雑に絡まっている.さらには認知症高齢者自身に記憶や判断力の障害があることから,転倒に対する根本的な原因分析が難しいのが現状である.現在,わが国の認知症高齢者のための転倒予防対策に関して,介護保険法では身体的拘束が禁止3)されているが,医療の現場では特に転倒予防としていまだに身体的拘束が行われていることが多い4).認知症高齢者の場合には,認知症という脳神経系の疾患による症状や加齢による心身機能の変化に伴って,転倒リスクに関連する身体機能も変化しやすい.認知症による記憶障害や注意障害だけではなく認知症高齢者の思いやニーズを踏まえて転倒予防対策を検討することが転倒予防につながる.そこで認知症高齢者の認知症の特徴やニーズを踏まえた転倒対策について考えていきたい.
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