増大号特集 いま,知っておきたい発達障害 Q&A 98
6 治療
Q86 自閉スペクトラム症(ASD)に対する薬物療法は,どのような症状にどのような治療薬が検討されますか?
吉村 裕太
1
,
田口 公之
1
,
石田 匡宏
1
1福岡大学医学部精神医学教室
キーワード:
自閉スペクトラム症
,
autism spectrum disorder
,
ASD
,
薬物療法
,
pharmacotherapy
,
非薬物療法の重要性
,
importance of non-pharmacological therapy
Keyword:
自閉スペクトラム症
,
autism spectrum disorder
,
ASD
,
薬物療法
,
pharmacotherapy
,
非薬物療法の重要性
,
importance of non-pharmacological therapy
pp.801-803
発行日 2023年5月15日
Published Date 2023/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206991
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A 最も重要なポイントは,本人と一緒に困難に取り組む関係性を作り,症状の成り立ちを検討することや環境調整といった非薬物療法がメインの治療法であるということです。ASDの中核症状は,対人相互交流の成立のしがたさと限定的で繰り返される関心や活動です。これらの中核症状に対する有効性の確立された薬物治療は現時点では存在しません。易刺激性,易怒性,感覚過敏などの随伴特性に対しては,非定型抗精神病薬を用いることが多く,リスペリドンとアリピプラゾールは特に有効性を示す報告が多いです1)。またASDは,二次障害として気分障害や不安障害などの合併頻度が高いため,これらには,各種の標準的な治療を行います。
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