Japanese
English
特集 摂食嚥下障害と加齢/サルコペニア/低栄養
口の機能の低下はどのように評価し予防できるか
How oral hypofunction can be evaluated and prevented
渡邊 裕
1
Yutaka Watanabe
1
1北海道大学大学院歯学研究院口腔健康科学分野高齢者歯科学教室
1Gerodontology, Department of Oral Health Science, Faculty of Dental Medicine, Hokkaido University
キーワード:
老嚥
,
オーラルフレイル
,
口腔機能低下症
,
全身状態
,
サルコペニア
Keyword:
老嚥
,
オーラルフレイル
,
口腔機能低下症
,
全身状態
,
サルコペニア
pp.937-944
発行日 2022年8月10日
Published Date 2022/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202582
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はじめに
加齢によって生じる無症候性の嚥下機能の変化(老嚥:presbyphagia)は1),嚥下機能の予備力を低下させ,嚥下障害に関連する誤嚥性肺炎などの嚥下障害関連疾患のリスクを高める可能性がある.特に急速に寿命が延伸している日本では,死亡や要介護状態の発生等に関連することから注目されている.一方,近年の歯科医療の充実と技術の進歩は目覚ましく,歯を失う機会は大きく減少した.そのようななか,フレイル,サルコペニア,要介護状態,死亡,認知症など健康寿命を損なう状態の発生と,口腔機能の低下との関連が数多く報告されるようになってきた2,3).これら加齢に伴う口腔機能の低下はオーラルフレイルと称され,世界的に注目が集まっている.老嚥,オーラルフレイルともに摂食嚥下機能の加齢変化であり,フレイルに関連し,摂食嚥下機能障害に陥る前の段階であることから,老嚥,オーラルフレイルを早期に発見し適切な対応をとって,元の正常な状態に戻すことで,健康寿命の延伸に寄与すると考えられる.本稿では老嚥,オーラルフレイル,口腔機能低下症について解説し,口腔機能と全身状態との関係について最近の報告を総説する.
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