Japanese
English
入門講座 緩和ケアとリハビリテーション・3
緩和ケアにおける地域移行支援とリハビリテーション
Rehabilitation for supporting the discharge to the local community in palliative care
野知 有郁子
1
Yukako Nochi
1
1医療法人東札幌病院診療部Ⅱリハビリテーション課
1Higashi Sapporo Hospital
キーワード:
緩和ケア
,
退院支援
,
地域
,
がん
Keyword:
緩和ケア
,
退院支援
,
地域
,
がん
pp.935-941
発行日 2015年10月10日
Published Date 2015/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200386
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はじめに
ほかに類をみないスピードで高齢化が進む日本において,厚生労働省は「2025年を目途に,高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで,可能な限り住み慣れた地域で,自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう,地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築」を推進している.これは,緩和ケアの対象として大部分を占めるがん患者,終末期患者にもあてはまる.
1981年からわが国における死亡原因の第1位であり続ける「がん」だが,早期診断・治療,医療技術の進歩などにより死亡率は減少傾向にある.がんと共存する時代を迎えリハビリテーションの役割は大きく,2012年には「がん患者の生活の質の維持向上を目的として,運動機能の改善や生活機能の低下予防に資するよう,がん患者に対する質の高いリハビリテーション」が積極的に取り組むべき施策として挙げられている.現在のがん患者リハビリテーション料は,治療前後の介入が重視されており,その対象として「緩和ケア」と記載があるのは「緩和ケアを目的とした治療を行っている進行がん又は末期がんの患者であって,症状の増悪により入院している間に在宅復帰を目的としたリハビリテーションが必要なもの」のみである.緩和ケアと積極的治療は並行し得る(すべき)ものだが,治療の合間や小康状態が得られた時,対象者の意向に限らず病院側も早期退院を勧めざるを得ない時代といえる.緩和ケアはがん患者に限定されるものではないが,自身の経験からがん患者へのリハビリテーション介入を中心に書き進める.
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