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特集 東日本大震災から10年
障がいのある人の防災対策—避難,避難生活から生活再建までを視野に入れて
Disability-inclusive disaster risk reduction: from evacuation through sheltering to life recovery
立木 茂雄
1
,
川見 文紀
2,3
Shigeo Tatsuki
1
,
Fuminori Kawami
2,3
1同志社大学社会学部
2同志社大学大学院社会学研究科
3日本学術振興会
1Department of Sociology, Doshisya University
2Graduate School of Sociology, Doshisya University
3JSPS
キーワード:
東日本大震災と障がいのある人
,
避難移動
,
生活再建
,
合理的配慮
,
社会モデル
,
国際生活機能分類
Keyword:
東日本大震災と障がいのある人
,
避難移動
,
生活再建
,
合理的配慮
,
社会モデル
,
国際生活機能分類
pp.261-267
発行日 2021年3月10日
Published Date 2021/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202177
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はじめに
東日本大震災から10年が経過した.障がいのある人たち*)は,津波の脅威から逃げおくれ,その後の避難生活や仮住まいの生活でも取り残された.本稿では,これまでの10年間に行われてきた社会調査結果をもとに,「逃げおくれ」,「取り残された」障がいのある人たちの被害の根本原因を明らかにし,それらを踏まえた根本的な解決の方向性について解説する.
*)日本社会では,慣習的にdisabilitiesとimpairmentsに同じ「障害」という用語を用いてきた.しかし,これらは明確に区別して用いなければ学術論文として成立しない.そこで本稿では,障害者の権利条約で用いられるpersons with disabilitiesに対応する日本語として「障がいのある人たち」を原則として用いる(高齢者とセットで用いる場合などには一部「障がい者」も用いている).同条約は,disabilitiesが個人と環境の相互作用上の不調和や欠損から生じると捉える障がいの社会モデルの立場に基づいている.これは同時に,心身の機能のimpairmentsに障がいの根本原因を求める障がいの医学モデルから決別することも意味している.そこで障がいの社会モデルに基づいてdisabilities概念を指す場合には「障がい」もしくは「能力障害」を,persons with disabilitiesを指す場合には「障がいのある人」を,一方impairmentsを指す場合には「障害」もしくは「機能障害」の語を意図的に用いている.ただし,障がいのある人に関連する法・制度を指す場合,あるいは既往文献を引用・参照するばあいには「障害」を用いている.
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