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はじめに
2011年3月11日,14時46分18秒,三陸沖130kmを震源とする最大震度7の大地震,そしてそれに続く巨大津波によって太平洋沿岸部が広範囲に壊滅的打撃を受けてしまった.
東日本大震災から早10年,振り返って整理すると,この震災は,① 高齢化率が30%を超え,かつ医療・介護サービスが過疎な地域で起こったこと,② 大津波によって多くの方々が命を亡くしたが,一方,生存者に外傷者が少なかったこと,また,③ 福島第一原発事故によって人々が住み慣れた故郷から離れて生活せざるをえなくなったこと,そして,④ 避難所生活は長期にわたり,多くの災害関連死〔1都9県で3,739人(2019年9月30日時点:復興庁)〕が発生,その9割が66歳以上の高齢者であったことなどの特徴が挙げられる.
殊にこの災害関連死に関しては慢性疾患の悪化や新たな疾患の発症などが主な原因とされるが,その根底には避難所以降の生活不活発病(活動性の低下からくる心身機能の低下など)が大きな要因として存在する.
災害関連死を予防し,ゼロを目指すためには“preventable death:防ぎえる死”として捉え,発災時の救命・救助を担う(災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team;DMAT),そして避難所以降の救護を担当する日本医師会医療チーム(Japan Medical Association Team;JMAT)とともに要配慮者の被災後の不自由な生活を改善し,生活の再建そして活動・参加に繋ぐリハビリテーション支援を積極的に展開することが重要である.
東日本大震災を機に,リハビリテーション関連団体が結束して災害リハビリテーション支援を開始して10年が経過する.本稿では一般社団法人日本災害リハビリテーション支援協会の誕生に至る経緯1)を紹介するとともにこれからの課題について整理する.
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