Japanese
English
特集 小児期のがんとリハビリテーション
小児脳腫瘍患者に対するリハビリテーション
Rehabilitation for children with brain tumor
温井 めぐみ
1,2
,
松尾 恵子
3
,
吉井 恵一
3
,
草間 由実子
2
Megumi Nukui
1,2
,
Keiko Matsuo
3
,
Keiichi Yoshii
3
,
Yumiko Kusama
2
1大阪市立総合医療センター小児神経内科
2大阪市立総合医療センター小児言語科
3大阪市立総合医療センターリハビリテーション科
1Department of Pediatric Neurology, Osaka City General Hospital
2Department of Pediatric Speech-language, Osaka City General Hospital
3Department of Rehabilitation, Osaka City General Hospital
キーワード:
脳腫瘍
,
高次脳機能障害
,
がんリハビリテーション
Keyword:
脳腫瘍
,
高次脳機能障害
,
がんリハビリテーション
pp.1073-1078
発行日 2019年11月10日
Published Date 2019/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201792
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はじめに
小児脳腫瘍は,小児がんにおいて白血病に次いで多く,小児がん全体の20〜25%を占める.治療法の進歩により治癒率は飛躍的に伸びており,5年生存率は70%を超えるようになった1,2).これにより,治療のアウトカムとして,生命予後のみならず機能的予後や生活の質の改善が求められるようになっている.その一方で,脳腫瘍は依然として小児がんによる死亡の最大の要因であることには変わりがなく,緩和医療の対象となることも多い3).
小児の脳腫瘍は,成人と比較して,後頭蓋(小脳,脳幹),正中に発生することが多く,非交通性水頭症を合併する頻度が高い4).このため,リハビリテーションを行ううえでは,失調などの小脳症状や,眼球運動障害・構音障害・嚥下障害などの脳幹症状,全般性知能低下など水頭症に起因する症状に注意が必要である.また,進学・進級・就職など変化するライフステージの中で治療を受けるという点も,成人と異なる.
脳腫瘍は他の小児がんと比較し,腫瘍自体の影響,水頭症の影響,治療(手術,化学療法,放射線治療)の影響により,脳神経症状が出やすいことが特徴である.がんのリハビリテーションガイドラインでは,脳腫瘍患者に対する評価・リハビリテーションは,病型を問わず,また小児においても効果があるとされており,小児脳腫瘍患者の治療において,リハビリテーションは不可欠である5).
本稿では,小児脳腫瘍患者におけるリハビリテーションについて,急性期治療中,退院後〜晩期合併症,緩和医療期に分けて述べる.
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