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特集 小児期のがんとリハビリテーション
小児がんサバイバーとリハビリテーション
Rehabilitation for child cancer survivor
清谷 知賀子
1
Chikako Kiyotani
1
1国立成育医療研究センター小児がんセンター血液腫瘍科兼長期フォローアップ科
1Children Cancer Center, National Center for Child Health and Development
キーワード:
小児がん晩期合併症
,
長期フォローアップ
,
トランジション
,
フレイル
Keyword:
小児がん晩期合併症
,
長期フォローアップ
,
トランジション
,
フレイル
pp.1079-1085
発行日 2019年11月10日
Published Date 2019/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201794
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はじめに
小児がんは現在では約80%が長期生存を望めるようになり,治療後の生活に視点が向けられるようになった.小児がん患者の場合,それまでの人生で獲得した社会・生活に「戻る」ことが目標の成人がん患者とは違い,がん治療のかたわら,成長発達する小児として,同世代と同じように学習し,経験し,成熟して,社会のなかで自らを「獲得」,「確立」,「自立」していき,思春期から若年成人期に集中する数々のライフイベントに向き合うことが求められる.
また小児がん患者は,がん治療終了ですべてが終わりではなく,その時に症状としては現れていなくても疾患やがん治療により身体に何らかのダメージを受けているため,発達や加齢の影響が加わることで,後々にさまざまな晩期合併症が起こり得る1-3).彼らは腫瘍主治医から時間的・空間的に離れてしまってから,そのような問題に向き合わなければならない.小児がん患児は,治療による心身への侵襲と,精神的・社会的自己確立のための葛藤,さらに成長に従って,受け身であった小児期から成人医療を受ける主体となるべく,疾患や治療や合併症を自らのものとして理解し,受容して,自己健康管理ができる知識と判断力をつけることが必要になる.
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