Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
内村鑑三の〔『米国ペンシルバニヤ州東部白痴院第45年報』書評〕—明治期における精神医療批判
高橋 正雄
1
1筑波大学人間系
pp.486
発行日 2018年5月10日
Published Date 2018/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201317
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明治32年に内村鑑三が発表した〔『米国ペンシルバニヤ州東部白痴院第45年報』書評〕(『内村鑑三全集第7巻』,岩波書店)には,米国の「白痴院」の現状が記されているだけでなく,わが国の精神科医療や障害者福祉の遅れに対する先駆的な批判が含まれている.
内村はまず,この年報は,明治18年に内村が看護人として勤めていた白痴院のバー院長から贈られたものであるとして,現在の白痴院の状況を,次のように伝えている.「全院今や891名の入院生あり,60余名の役者に依て支配さる」,「昨年度の総歳入20万6千弗(我40万円以上),支払18万弗余(37万円余),中6万弗はペンシルバニヤ州の支出に係り,ヒラデルヒヤ府亦2万7千余弗を寄附す」,「白痴一人1ケ年の扶持費は117弗にして1週間3弗26仙の割合なり」.
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