Japanese
English
特集 被災地の復興と障害
障害児と災害
Disaster with disabled children
田中 総一郎
1
Soichiro Tanaka
1
1医療法人財団はるたか会あおぞら診療所ほっこり仙台
1Home Care Clinic for Children Aozora Hokkori Sendai
キーワード:
災害対策
,
障害児
,
要援護者
,
福祉避難所
,
ヘルプカード
Keyword:
災害対策
,
障害児
,
要援護者
,
福祉避難所
,
ヘルプカード
pp.1191-1195
発行日 2017年12月10日
Published Date 2017/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201165
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はじめに
2011年の東日本震災では,全国で15,894人の死者,2,546人の行方不明者(2017年9月8日現在,警視庁調べ)の方が犠牲になられた.また,避難者数はいまだに84,364人に及ぶ(2017年9月14日現在).被災3県(岩手県・宮城県・福島県)の死亡率は一般の0.8%に対して,障害者手帳所持者は約2倍の1.5%に上る(2012年9月24日付,河北新報).宮城県では障害者手帳をもつ1,103人が犠牲となったが,肢体不自由は約半分の519人,視覚障害・聴覚障害・その他を合わせると9割が身体障害手帳を有する方であった.この数字は,身体に障害のある方を津波被害から守る方策が機能しなかったことを物語っている.
石巻市に住む高校2年生のKくんも犠牲になった.難治性のてんかんから寝たきりとなり,在宅人工呼吸器と酸素療法を受けながら支援学校へ通っていた.当時,彼は海岸から1kmほどの自宅にいたが,押し寄せる津波が平屋建ての自宅を飲み込んだ.彼は体重44Kg,身長155cmの体格であり,人工呼吸器と酸素吸入器を一緒にもって避難するためには,本人を抱っこする人と,医療機器を運ぶ人,合わせて最低でも大人2人の援助が必要であった.
災害時に障害児者を守るためには,① 自力では避難できない要援護者の避難をどのように支援するか,② 避難したのち生命に直結する医療機器の電源や薬剤をどのように確保し供給できるか,そして,安全に過ごせる場所を確保できるか,③ 平時からの防災対策をどのように普及させるかの3点が重要である.
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