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特集 被災地の復興と障害
大規模災害における災害時要配慮者への対応—特に身体障がい者への対応について
The activities for People Requiring Assistance during a Disaster:Especially physically handicapped person
冨岡 正雄
1
,
佐浦 隆一
1
,
栗原 正紀
2
,
近藤 国嗣
3
,
渡部 大地
4
Masao Tomioka
1
,
Rhuichi Saura
1
,
Masaki Kurihara
2
,
Kunitsugu kondo
3
,
Daichi Watanabe
4
1大阪医科大学総合医学講座リハビリテーション医学教室
2長崎リハビリテーション病院
3東京湾岸リハビリテーション病院
4公益社団法人日本理学療法士協会
1Department of Rehabilitation Medicine, Division of Comprehensive Medicine, Osaka Medical College
2Nagasaki Rehabilitation Hospital
3Tokyo Bay Rehabilitation Hospital
4Japanese Physical Therapy Association
キーワード:
大規模災害
,
災害時要配慮者
,
身体障害者
,
JRAT
,
避難
Keyword:
大規模災害
,
災害時要配慮者
,
身体障害者
,
JRAT
,
避難
pp.1185-1190
発行日 2017年12月10日
Published Date 2017/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201164
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はじめに
地震や火山の噴火など,わが国では歴史的に自然災害が繰り返し発生している.また近年,集中豪雨による水害も多く発生しているので,常日ごろからの災害に対する準備が必要である.さらに,社会や生活基盤が高度化しても東京や大阪のように人口が集中すると,かえって災害に対して脆弱な社会となってしまうので,いったん発災すると甚大な人的・物的被害を被る危険性が高いことも常に認識しておかなければならない.
さて,災害時に特に配慮を要し支援が必要な高齢者,障がい者,乳幼児,妊婦などは災害時要配慮者と呼ばれる1).肢体不自由,聴覚・視覚不自由,内部障がい(心,呼吸,膀胱,小腸,肝)などが含まれる身体障がい者は,全国で393万7千人が登録されている2)が,本稿では特にこの身体障がい者への災害時対応を記載する.
一般に,災害時の「避難」という用語には,「災害の発生前後に危険を避けること」と「その後自宅などに帰ることができずに避難所などで生活すること」の両方の意味をもつが,前者は緊急避難行動(evacuation),後者は避難生活(sheltering)と区別3)されて,それぞれへの対応は異なる.そこで,身体障がい者にはどのような危険があり,また,その危険に対して支援者がどのように対応するべきかを緊急避難行動(evacuation)と避難生活(sheltering)に分けて述べる.
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