Japanese
English
研究と報告
健常人における舌骨と喉頭の位置と動きについてのポジション別定量的評価—側臥位は座位とリクライニング位と比べて安全に食べることができるか?
Quantitative evaluation of the position and movement of the hyoid bone and larynx in healthy volunteers:can we eat safely in lateral position compared to the sitting position and the reclining position?
村田 和弘
1
,
高木 多恵子
2
,
橋口 明生
2
,
飯田 早絵
2
Kazuhiro Murata
1
,
Taeko Takagi
2
,
Akio Hashiguchi
2
,
Sakie Iida
2
1山口県立総合医療センターリハビリテーション科
2飯塚市立病院リハビリテーション室
1Department of Rehabilitation, Yamaguchi Grand Medical Center
2Department of Rehabilitation, Iizuka City Hospital
キーワード:
側臥位
,
リクライニング位
,
椅子座位
,
舌骨
,
喉頭
,
嚥下造影
Keyword:
側臥位
,
リクライニング位
,
椅子座位
,
舌骨
,
喉頭
,
嚥下造影
pp.943-946
発行日 2017年9月10日
Published Date 2017/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201094
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要旨 【目的】近年,嚥下障害患者の食事のポジションとして側臥位の有用性も報告されている.そこで,舌骨と喉頭の位置と動き,嚥下反射が惹起する際の食塊の位置に注目し,ポジションによってそれらが変化するか定量的に評価した.【対象と方法】健常人ボランティア男性10名(平均年齢33.5歳)を対象とし,頭部と体幹を固定したまま椅子座位,30°リクライニング位,右側臥位で嚥下造影(videofluorography;VF)を行った.VFの側面像から,安静時とゼリーと水分5mLを摂取したときの嚥下反射惹起時の舌骨と喉頭の位置を計測した.それぞれ3口ずつ摂取し,平均値を用いた.さらに,嚥下反射惹起直前の食塊の最先端の位置も計測した.第5頸椎椎体前下縁を原点とし,第3頸椎椎体前上縁を結ぶ線をY軸,それに直行する線をX軸とした.JMP version 8を使用し一元配置分散分析を用い,有意差がみられた項目(危険率5%未満)は,Tukey-KramerのHSD検定を使ったすべてのペアの比較を行った.【結果】安静時の位置は舌骨・喉頭とも差はなかったが,側臥位では喉頭の移動距離が有意に小さくなり,嚥下反射惹起直前の食塊の先端の位置は,側臥位でY軸方向に有意に高くなった.【結語】側臥位では,重力が影響せず,随意的な送り込みに影響するため,咽頭に食塊が残留しても嚥下後誤嚥の可能性が低くなると予想され,ほかのポジションに比べ安全性が高いことが示唆された.
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