Japanese
English
研究と報告
転倒経験高齢者の短距離歩行分析による歩容の特徴
Gait characteristics of the elderly with falling history using short distance walking analysis
村田 伸
1
,
大杉 紘徳
2
,
矢田 幸博
3
,
岡村 祐一
4
,
張 淑珍
4
,
津田 彰
5
Shin Murata
1
,
Hironori Ohsugi
2
,
Yukihiro Yada
3
,
Yuichi Okamura
4
,
Shuzhen Zhang
4
,
Akira Tsuda
5
1京都橘大学健康科学部
2城西国際大学福祉総合学部
3筑波大学大学院グローバル教育院
4久留米大学大学院心理学研究科
5久留米大学文学部
1Faculty of Health Science, Kyoto Tachibana University
2Faculty of Social Work Studies, Josai International University
3University of Tsukuba School of Integrative and Global Majors
4Kurume University Graduate School of Psychology
5Faculty of Literature, Kurume University
キーワード:
転倒経験高齢者
,
シート型歩行分析装置
,
歩容
Keyword:
転倒経験高齢者
,
シート型歩行分析装置
,
歩容
pp.637-642
発行日 2017年6月10日
Published Date 2017/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200994
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要旨 本研究は,高齢者施設に入居している高齢者を対象に,短距離の歩行で詳細な歩容が測定できるシート型歩行分析装置を用いて,転倒経験高齢者の歩容の特徴を明らかにすることを目的に実施した.過去1年間に転倒を経験した高齢者19名と転倒を経験しなかった68名の歩容を比較した結果,転倒経験群は非転倒群と比べて歩行速度が有意に遅く,ストライドや歩幅が有意に狭かった.一方,歩隔や歩行角は有意に広く,立脚時間と両脚支持時間は有意に長かった.さらに,非転倒群の測定値を基準に転倒経験群の測定値の変化率を求めると,その変化の割合が大きかったのは,進行方向の距離因子(ストライド,歩幅)や時間因子(立脚時間,両脚支持時間)よりも,左右方向の距離因子である歩隔(24.1%増大)および歩行角(48.6%増大)であった.これらの知見から,転倒経験高齢者の歩容の特徴として,歩行速度の低下に関与するストライドや歩幅,および立脚時間や両脚支持時間の変化とともに,不安定な歩行を安定させるための歩隔や歩行角の変化が生じていることが示唆された.すなわち,転倒を経験した高齢者は,歩行の効率性よりも安定性を優先していることが伺えた.また,短距離の歩行分析でも高齢者の転倒を予測し,転倒の危険性が高い高齢者やその家族に注意喚起することで,転倒予防に貢献できる可能性が示された.
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