Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「書道ガールズ!! わたしたちの甲子園」—<再生>をキーワードとする社会性を帯びた部活群像ドラマ
二通 諭
1
1札幌学院大学人文学部人間科学科
pp.377
発行日 2017年4月10日
Published Date 2017/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200926
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近年,学校の部活がネガティブな文脈で話題になっている.運動部における体罰事件や,「ブラック部活」と形容される若手教員を中心とする部活顧問の過剰負担が問題視されているのだ.一方,映画に目を転じるなら,部活はポジティブな文脈で語られている.というのも中学生・高校生の成長を描くとなれば,部活のほか,修学旅行や学校祭などの特別活動,換言すれば教科外活動が主要な舞台となるからだ.
学校教育において人生に影響を与えたものは何かと問われたなら,多くの人々は,地道に取り組まれている各教科の授業の意義を認めつつも,人との出会いや,部活・特別活動の経験を口にするはずだ.それゆえ,この数年を振り返っても,「桐島,部活やめるってよ」(映画部),「幕が上がる」(演劇部),「アオハライド」(修学旅行),「心が叫びたがってるんだ.」(地域交流ミュージカル),「ちはやふる上の句・下の句」(競技かるた部),「青空エール」(吹奏楽部),「くちびるに歌を」(合唱部),「鈴木先生」(生徒会役員選挙・学校祭),「ガールズ・ステップ」(ダンス部)など,部活・特別活動映画がコンスタントに製作されている.観客が自身の人生と重ね合わせることができるジャンルであり,高い訴求力をもつ.
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