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Case
患者:55歳、男性。15年来の2型糖尿病にて経口血糖降下薬やインスリンによる治療を断続的に受けていた。
現病歴:3年前より、両側足先・足裏のしびれ感を自覚したが放置。数週前に、右足拇趾の打撲で爪から出血、痛みはなく様子をみていたが、指全体が赤く腫脹。市内外科より、血糖コントロールを目的として当院糖尿病科を紹介となった。
外来での観察では右足指の腫脹を認めるが潰瘍・壊疽はなく、血糖320mg/dL、HbA1c 10.2%、CRP 3.7、WBC 9,500/μLであった。ただちに入院、超速効型インスリン6-6-6単位開始。足指の消毒・洗浄とともに、点滴にて広範囲抗菌薬投与を行った。足の腫脹は徐々に改善、退院後3カ月目の現在、HbA1c 7.5%、血糖148mg/dL、持効型インスリン12-0-0単位にて経過観察中である。
現症(神経学的検査):
●アキレス腱反射;両側の消失(膝立位)、膝蓋腱反射;左右減弱。
●振動覚検査;C128音叉にて内踝左6秒・右5秒と両側低下。
●自覚症状;特に訴えないが、詳しく聞くと「足の感覚が鈍い」という。自発痛はない。
合併症:入院時糖尿病合併症検査にて、眼底は増殖前網膜症、腎は持続性蛋白尿陽性、eGFR 52、BUN 23mg/dL、Cr 2.1mg/dL、大血管障害として頸動脈IMT 1.25mm/1.30mm、心電図でV4〜V6に虚血性変化を認める。
身体所見:血圧152/82mmHg、安静時脈拍数86回/分、CVR-R 1.82。便秘気味で、起立性低血圧あり(30mmHg以上下降)。しばしば顔面に発汗過多を覚え、下肢は乾燥する。
*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2021年2月28日まで)。
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