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はじめに
糖尿病は成因に基づいて,1型,2型,その他の特定の機序・疾患によるもの,および妊娠糖尿病の4つの型に分類される(妊娠糖尿病は成因分類として独立させるかどうかの議論もあるが,臨床上の重要性,特別の配慮の必要性により一項目として取り扱う)1).糖尿病患者の95%以上を占め,いわゆる生活習慣病に位置づけられ,糖尿病治療としての運動療法が適応となるのが2型糖尿病である(表1).1型糖尿病では,進行した合併症がなく,血糖コントロールが良好であれば,インスリン療法や補食を調整することにより,いかなる運動も可能であるが,運動の長期的な血糖コントロールへの効果は不明である.妊娠糖尿病では,現在の妊娠が正常で,かつ既往の妊娠に早産や反復する流産がない場合など,母児の条件が良好,原則として12週以降で妊娠経過に異常がなければ運動は可能である2).一方,妊娠初期の血糖コントロールの不良により流産の頻度が増加し,糖尿病腎症が進行すれば早産のリスクが高まる可能性があるなど,糖代謝異常妊娠の母児合併症として流産・早産症が挙げられる.肥満妊娠糖尿病妊婦において軽い運動が勧められる場合があるが,一般的な運動療法の効果は明らかではなく,現段階では運動療法を糖代謝異常妊婦に推奨する根拠はない1,3).
本稿では,まず,糖尿病治療としての運動療法が適応となる2型糖尿病に対する運動療法のエビデンスとガイドラインで示される運動療法の実際について,運動療法以外の身体活動の知見をふまえて概説する.ついで,近年明らかにされつつある2型糖尿病患者の運動器の障害に関する知見を紹介し,その予防・改善の面からも運動療法の重要性を述べる.最後に,リハビリテーション対象患者における糖尿病合併の実態およびその影響について概説し,糖尿病合併を考慮することの必要性について述べる.
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