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はじめに
団塊の世代が75歳以上となる2025(平成37)年に向け,単身高齢者世帯や高齢者夫婦のみ世帯,認知症高齢者の増加が予測され,介護が必要な状態になっても住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう,介護だけではなく,医療や予防,生活支援,住まいを一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築(図1)が重要な政策課題となっている.また,地域によっては,高齢化の進展状況をとっても,人口が横ばいで75歳以上人口が急増する大都市部もあれば,75歳以上人口の増加は穏やかで人口は減少する市町村部もある.このことから,地域包括ケアシステムは,地域の実情を把握している保険者である市町村や都道府県が,地域の自主性や主体性に基づき,地域の特性に応じて作り上げていくことが必要となってきている.一方,40歳以上人口は,2021年をピークに減少し,2050年には「1人の若者が1人の高齢者を支える」という厳しい社会が到来することから,高齢者自身が長く働き続けられる環境を整え,社会の担い手を少しでも増やすことが必要となっている.
2014年度の介護保険制度の改正では,予防給付(通所介護・訪問介護のみ)の一部を市町村が取り組む地域支援事業に移行し,住民など多様な担い手による多様なサービスが提供できる介護予防・日常生活支援総合事業を創設している.また,従来の介護予防事業については,一次予防と二次予防を一体的に取り組めるよう一般介護予防事業として再構築し,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士らを活かした自立支援に資する取り組みを推進するなど介護予防の機能を強化した.さらに,包括的支援事業に地域ケア会議の充実や在宅医療・介護連携の推進,認知症施策の推進などを新たに加え,市町村が実施する地域支援事業の充実を図った(図2).
また,2015年度の介護報酬の改定では,地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みをさらに推進するため,特に介護保険でのリハビリテーションでは,「心身機能」,「活動」,「参加」の要素にバランスよく働きかける効果的なサービスの提供を推進するための理念の明確化と「活動」,「参加」に焦点を当てた新たな報酬体系を導入したところである.
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