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はじめに
2003年,ウェクスラー児童用知能検査第4版(Wechsler Intelligence Scale for Children;WISC-Ⅳ)1)が出版され,さらに精度の高い検査バッテリーとしてさまざまな国で標準化が進んでいる.精度の高さとは,4因子構造(「言語理解」,「ワーキングメモリ」,「知覚推理」,「処理速度」)や分析(記憶とスピードを効率的に分類)に裏付けされた臨床的有意義な指標得点にある.それによって,新しく追加された下位検査(「絵の概念」,「行列推理」)により因子構造の統合性が高まり「知覚推理指標」に変更され,臨床的・心理教育的診断に有用性が認められた.
さらに大きな変革は,これまで使用されてきた言語性IQ(verbal intelligence quotient;VIQ),動作性IQ(performance intelligence quotient;PIQ)を使用しないことにある.それらは,「言語理解指標」と「知覚推理指標」に改められた.変革は,実施・報告の使用者責任と所見の書き方にも言及し,明確な規定2)(① テスト・スタンダードに則って,検査は作られ,使われなくてはならない,② 心理検査は十分な専門的研修を積んだ有資格者によって実施されなければならない,③ 保護者に検査結果のプロフィールをコピーしてわたすことは原則として認められない,④ 学校で保管する検査結果資料は保護者にわたす報告書と同じである,⑤ 基本的なプロフィール分析の方法に則ること)が示されている.このことは,検査の倫理規定とも深く関係するため,①〜⑤ については規定を順守することが求められる.WISC-Ⅳ知能検査の概要を図1に示す.
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