Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「ラブ&マーシー 終わらないメロディ」—精神疾患と格闘したビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンの半生を描く
二通 諭
1
1札幌学院大学人文学部人間科学科
pp.79
発行日 2016年1月10日
Published Date 2016/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200492
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「ラブ&マーシー 終わらないメロディ」(監督/ビル・ポーラッド)は,妄想型統合失調症と診断されたビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンの半生を描いている.医師の監視下で薬漬けとなる1980年代の日々と,作曲者としてヒット曲を連発している1960年代の日々を行き来させながら,ラストは2000年代の復活譚で締める.
ビートルズとボブ・ディランが席捲していた1960年代,中学生だった筆者にとってのビーチ・ボーイズは,『サーフィン・U. S. A』(1963)にみられるように,それまでのアメリカン・ポップスの枠内のバンドであり,関心の外にあった.とはいえ,3年後の「グッド・ヴァイブレーション」で,妙に内省的,幻想的になってきたなと感じ入ったものである.なるほど本作によれば,この変化は,ブライアンの性質に由来する創造力の賜物.
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