Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
武田泰淳の『幻聴』—働く精神障害者
高橋 正雄
1
1筑波大学人間系
pp.370
発行日 2015年4月10日
Published Date 2015/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200209
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武田泰淳(1912〜1976)が昭和27年に発表した『幻聴』(『武田泰淳全集第4巻』,筑摩書房)には,戦時下の印刷工場で働く有能かつ善良な精神障害者の姿が描かれている.
立川からほど近い村にあるA工場は,「有名な諸出版社に絶大の信用をもつ,伝統の技術を誇る」印刷工場だった.このA工場は家族主義をモットーとする「おだやかな気風」の工場だったが,そこで棄三という「神経病」者が働いていたのである.
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