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はじめに
2006年の診療報酬改定で,脳血管疾患リハビリテーション料等のいわゆる疾患別リハビリテーション料が導入された.この疾患別リハビリテーション料を理学療法の視点からみた時に,この導入によって疾患別理学療法が大きく飛躍したことは間違いない.これからも疾患別リハビリテーションという言葉に埋没するのではなく,疾患別理学療法という治療分野を確たるものにするとともに標準化を図らねばならない.
近年,理学療法士の国家試験合格者は1万人前後で推移している.このような状況下で,新卒理学療法士の臨床能力に対する評価は非常に厳しいものがあり,多方面から強く指摘されるところとなっている.国家試験対策に忙殺される養成校,ただ見学しているだけの臨床実習,これで社会的に認知される理学療法士が育つはずがない.人材育成の始まりは教育にありという当たり前のことを再確認すべき重要な時期を迎えている.
2025年を到達年度とした地域包括ケアシステムによると,現在の107万床の一般病床を高度急性期・一般急性期・地域包括ケア病院(旧亜急性期病床)・回復期病棟に区分することになっている.高度急性期医療が命を助けるための医療を中心としたものであれば,高度急性期病院の理学療法士もその役割を担わねばならない.それぞれの医療分野ごとに,「命に資する理学療法」,「廃用予防に資する理学療法」,「機能の回復に資する理学療法」,「生活能力回復に資する理学療法」が求められるとともに,介護保険分野では「介護予防に資する理学療法」,「生活能力維持・向上に資する理学療法」が求められている.
このように,医療提供体制が変化していくなかで,日本理学療法士協会(以下,本会)では生涯学習システムや研修制度の大胆な見直しを行っている.2014年の診療報酬改定でみられるように理学療法士の業務範囲は急速な拡大傾向にある.また,地域包括ケアシステムでも,理学療法士等の地域ケア会議や介護予防への参入を促されるとともに,在宅医療推進のため,訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションおよび通所介護への積極的なかかわりも重要となった.
急激に変化している医療供給体制,それに伴った診療報酬の動向,そしてこれら周辺の激烈な変化に対応すべき人材育成について記述する.
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