Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
急性期病院におけるリハビリテーションは,診断群分類(diagnosis procedure combination;DPC)の導入や日数制限などで十分な効果が得られないまま回復期リハビリテーションへ受け繋がれるという不完全燃焼感が否めない.しかし急性期にこそ早期に機能改善を目指し,廃用症候群を予防して効果的リハビリテーションを行うべきで,できるかぎり機能回復がなされた状態で回復期や在宅へ繋ぐ使命がある.
急性期リハビリテーションを充実させずして回復期,維持期のリハビリテーションを促進することはできない.しかし合併症を予防しながらハイリスク患者に効果的なリハビリテーションを展開するには,リハビリテーションスタッフのみでは限界があるのは事実である.リハビリテーションスタッフは簡単には増やせず,1日に担当できる患者の数は限られる.本当にリハビリテーションが必要な患者に対して効果的なリハビリテーションを提供するためには,患者の情報をタイムリーに把握する必要があり,そのためには病棟スタッフとの連携は必須である.
急性期リハビリテーションの効果は,次への展開として回復期や維持期リハビリテーションへシームレスに継続されるべきで,最終的に地域との密接な連携がなくては完結できない.つまりは急性期リハビリテーションを単独で考えるのではなく,また急性期リハビリテーションさえ無事にこなせばよいという考えではなく,回復期や維持期への一連のリハビリテーションのスタート部分にあたると位置づけ,急性期から患者の将来までの生活の質(quality of life;QOL)を見据えたリハビリテーションアプローチの実践を考えなくてはならない.
急性期リハビリテーションは,固定化しつつある障害に対して受け身的に追いかける医療ではなく,疾患の発症から積極的に介入し,起こりうる事態に的確に対応できる医療でなければならない.在院日数短縮が叫ばれるなか,それはリハビリテーションを単に早く始めればよいという開始時期だけの問題ではない.急性期医療では救命や疾患の治療が優先されるが,そのなかでリハビリテーションも疾患に対する医療と平行に行われるべきである.なぜなら廃用症候群などの合併症を予防し,不用意な時間を費やすことなく,患者の退院後のQOLをも高める結果をもたらし,病院全体にメリットをもたらす医療だからである.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.