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第50回日本リハビリテーション医学会学術集会は2013年6月13~15日に昭和大学医学部リハビリテーション医学教室の水間正澄教授を大会長として,東京国際フォーラムで行われた.東京国際フォーラムは東京駅から近いことと,会場と駅が直接つながっているために利便性がよいのが特徴である.今年は1963年に日本リハビリテーション医学会が設立されてから50周年という記念大会であり,メインテーマを「こころと科学の調和―リハビリテーション医学が築いてきたもの」として開催された.初日の昼過ぎから歴史を語るというプレナリー講演が3題行われた.最初が会長講演であり,水間教授ご自身のリハビリテーション医としての歩みとメインテーマであるこころと科学の調和について語られた.続いて,米本恭三先生が「新たな扉を開き続けた十年の歩み」としてリハビリテーション医学のいわば創生期に大変ご苦労された話をされた.なかでも,リハビリテーション科が標榜診療科として認められたときの話や,科学研究費細目にリハビリテーション科学を認めてもらう経緯,医師国家試験出題基準へのリハビリテーション医学の参入についての大変興味深い話があった.続いて「日本リハビリテーション医学会の50年―振り返れば一本道?」として江藤文夫先生から専門医制度をめぐっての話を聴くことができた.われわれは,ともすれば現在の状況を当たり前のこととして考える傾向があるが,決してそれは当たり前のことではなく,多くの先人が苦労して成し遂げた成果であることを忘れてはいけないことを痛感した.50周年という節目の年に改めてそのことを振り返ることができた貴重な機会であった.
50周年記念企画シンポジウムとして,「アジア・リハビリテーション医との交流」,「関連専門職シンポジウム―未来のリハビリテーション医学会への期待」の2つが行われた.アジア・リハビリテーション医との交流では中国,モンゴル,インドネシア,タイからのリハビリテーション医による各国のリハビリテーションの現状が語られた.世界のリハビリテーション医をみても,必ずしもその守備範囲は同一ではない.そのなかでアジア諸国は距離的にも日本に近く,アジアとの連携はこれからの日本リハビリテーション医学会にとって,最重要となるべき課題と思われた.また,リハビリテーションはチーム医療が最も重要な科であり,関連専門職シンポジウムでは言語聴覚士,理学療法士,作業療法士,看護師の各協会から日本リハビリテーション医学会への期待が述べられた.初日の夕方には50周年記念講演として,韓国のHan先生,千野直一先生,米国のFrontera先生から講演が行われ,その後に日本リハビリテーション医学会設立50周年記念式典も盛大に行われた.記念式典では筆者は末席から参加させていただいたが,50周年に恥じない,歴史を感じさせる会であった.
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