書評
Serge Tixa 著/奈良 勲 監訳―触診解剖アトラス 下肢
黒澤 和生
1
1国際医療福祉大学
pp.12
発行日 2002年1月10日
Published Date 2002/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109659
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
臨床での実際的な業務に役立つ有用な本
本書はスイスのオステオパシーローザンヌ校のSerge Tixa教授が著された本を奈良勲先生が監訳した翻訳版である.Osteopathy(オステオパシー)とは,人体のホメオスタシスを増大し,自らの治癒力で病気を治していこうとする学問体系であり,手技による治療を主体とする療法である.徒手的治療手技に関心のある方であれば,マッスルエナジーや筋筋膜リリースなどはオステオパシーの技術であるとご存じのことであろう.
この本に書かれている内容の背後には,そうしたオステオパシーの治療上の必要性から,体表からの位置の確認だけにとどまらず,骨,筋,軟部組織などのそれぞれの組織の走行と触診の仕方を独自に積み重ねてきた歴史的な流れが息づいている.徒手的治療に興味を持っている理学療法士や作業療法士だけではなく,広く医療関連職種の方々にも臨床の現場に置いて実際的な業務に役立てて欲しい一冊である.就職して間もない頃,整形外科医のバイブルPhysical Examination of the Spine and Extremityの原書を手に入れたときに大変感動し,しばらく持ち歩いていた記憶がある.この本は,そんな感動を覚えた一冊である.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.