Japanese
English
特集 リハビリテーション工学の最近の進歩
組織工学
Status and prospect of tissue engineering.
菊地 眞
1
,
佐藤 正人
2
,
冨士川 恭輔
2
Makoto Kikuchi
1
,
Masato Sato
2
,
Kyosuke Fujikawa
2
1防衛医科大学校医用電子工学講座
2防衛医科大学校整形外科学講座
1Department of Medical Engineering, National Defense Medical College
2Department of Orthopaedic Surgery, National Defense Medical College
キーワード:
組織工学
,
細胞培養
,
生体材料
,
椎間板細胞
Keyword:
組織工学
,
細胞培養
,
生体材料
,
椎間板細胞
pp.531-534
発行日 2001年6月10日
Published Date 2001/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109510
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はじめに
1988年,ヒトゲノム解析国際プロジェクトが開始され,今日,ほぼ作業は完了した.従来,医用工学は電気,機械,情報,化学などを基盤にしてきたが,これらに加えてゲノム情報を基盤とするバイオテクノロジーとの融合化が目指されている.
20世紀初頭の第一次・第二次産業革命により20世紀のあらゆる科学技術が立ち上がってきたのと同様に,21世紀はバイオテクノロジーによりさまざまな新技術が創出され,医療技術もまた新しい幕開けが始まろうとしている.このような新医療技術は,単に医療の技術面だけを進化させるばかりでなく,医療そのものの概念を変化させていく.すなわち,ポストゲノム医療技術は,21世紀における“医療のパラダイムシフト”を生じさせることになる.
ハーバード大学Greenらによる皮膚表皮細胞の重層化の細胞培養技術(1975年)に端を発した細胞工学(Cellular engineering)は,1987年に全米科学財団(NSF)が一大パネルを開催して組織工学(Tissue engineering)として総括したことにより本格的研究が開始され,1990年代に入ると企業化が一気に加速した.
組織培養の重要な因子である幹細胞(Stem cell),Scaffolds(足場)としてのマトリックス材料,細胞の成育過程を制御するサイトカインといった基本的要素を手中にした研究者やベンチャー企業が生体組織の大量生産を開始している,今後はより能力の優れた遺伝子組み替え種(Transgenic)も提供される時代になろう.
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