Japanese
English
特集 脳卒中の上肢障害
機能回復
Recovery of Upper Extremity Function in Hemiplegic Patients.
中村 健
1
,
藤野 直美
1
,
蜂須賀 研二
2
Takeshi Nakamura
1
,
Naomi Fujino
1
,
Kenji Hachisuka
2
1門司労災病院リハビリテーション科
2産業医科大学リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation, Moji Rosai Hospital
2Department of Rehabilitation Medicine, University of Occupational and Environmental Health
キーワード:
上肢機能
,
機能予後
,
治療効果
Keyword:
上肢機能
,
機能予後
,
治療効果
pp.1121-1126
発行日 2000年12月10日
Published Date 2000/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109369
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はじめに
脳卒中患者のリハビリテーションに際して,臨床的には片麻痺患者の上肢(手指も含む)障害は回復に乏しく,廃用手が多いという印象がある.上肢機能が実用的レベルに回復したと言えるのは,利き手であれば箸が巧みに使えて,書字に支障がなく,非利き手であればボタンを留めたり,紙を切るときの補助的な動作に支障がないことが要求される.上肢に期待する機能水準は下肢よりもはるかに高度であり,上肢が関与する動作はより複雑で巧緻性を要するものが多い.
能力障害レベルの比較研究では,上肢障害の回復は下肢に較べ不良と考えられている1).日常生活の中では,上肢障害は非麻痺側上肢を用いた代償的動作により補われており,上肢機能障害に対する訓練は軽視される傾向にある.そのため,本邦においては上肢障害の適切な評価,経過,治療効果に着目した報告2)は少ない.一方,Copenhagen Stroke Studyのような大規模臨床研究の中で上肢機能回復に関する報告3)があり,われわれも上肢障害の詳細な評価,治療または自然回復の経過に関して科学的な検討を加えることは重要である.
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