Japanese
English
調査
歩行困難者と歩道構造に関する基礎調査
Preliminary Study on Improvement of the Ramp of Sidewalk for Handicapped.
田平 博嗣
1
,
上野 義雪
1
,
大津 慶子
2
Hirotsugu Tahira
1
,
Yoshiyuki Ueno
1
,
Keiko Otsu
2
1千葉工業大学
2東京都立保健科学大学
1Chiba Institute of Technology
2Tokyo Metropolitan University of Health Sciences
キーワード:
歩行困難者
,
歩道構造
,
切り下げ
Keyword:
歩行困難者
,
歩道構造
,
切り下げ
pp.675-682
発行日 2000年7月10日
Published Date 2000/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109275
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
歩車道の分離と車道の雨水排水を目的に設置されたマウント式の歩道は,1973年11月14日付の建設省通達により,歩行者が通行する部分を切り下げ,歩行弱者である高齢者や身体障害者の通行の利便向上を図った.しかし,切り下げを多用した結果,歩道がいわゆる「波打ち」形状となり,高齢者や身体障害者の歩行困難の原因となっており,円滑で安全な歩道歩行の環境が実現したとは言い難い1).
一方,各地方自治体でも,高齢者や身体障害者の外出機会の増加に対応するため,「福祉のまちづくり」条例等を制定し,歩道の切り下げ勾配を8%以下とすることを求めている.しかし,その整備基準値や整備手法は,建設省通達内容に準ずる,あるいは若干の修正を加えた程度で,現状の問題点を改善するには十分とはいえない.
また,幅員の狭い既設歩道では,整備用地の収用が難しい,民地とのレベル差により整合性がとりにくい等,歩道特有の制約の多いなかで8%以下の切り下げ勾配を実現するには,多くの障壁を抱えている.したがって,従来からのマウント式の歩道構造にこだわらない歩車分離形態の再考を視野に入れた抜本的な解決策が望まれている.
これまで,高齢者の歩車分離形態に対する意識調査から,歩道の物理的整備に対する評価を求めた研究2)はされているが,身体障害者を含めて検討した研究は行われていない.
そこで本調査では,切り下げにおける歩行困難者を求め,これらの歩行者が歩行しやすいとする歩車分離形態について,2つのアンケート調査により明らかにすることにした.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.