Japanese
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特集 介護保険とリハビリテーション
介護保険制度と社会福祉制度―その役割と課題
The Roles of and the Issues in the Long-term Care Insurance System and the Social Welfare System.
三友 敬太
1
Keita Mitomo
1
1社会福祉・医療事業団
1Japan Social Welfare and Medical Service Corporation
キーワード:
介護保険
,
社会保障
,
社会保険
,
社会福祉
Keyword:
介護保険
,
社会保障
,
社会保険
,
社会福祉
pp.35-40
発行日 2000年1月10日
Published Date 2000/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109141
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はじめに
社会保障,社会福祉の定義については諸説があり,いまだ定説がない.社会保障制度審議会の1950年勧告によれば,社会保障は,社会保険,国家扶助(公的扶助),公衆衛生,社会福祉からなるとされている.本稿では,社会福祉について,社会保障の一分野とする立場に立脚する.
わが国では,社会福祉は憲法第25条により権利として保障されるべきことが要請されている.このため,昭和20(1945)年代から30(1955)年代にかけて,対象者別に福祉各法が整備された.福祉各法は,貧困を予防,救済するものとして制定され,発展してきた.現在でも予防,救済するうえで大きな役割を果たしている.
福祉各法が利用者の権利を保障する方法として,公によるサービス決定方式(いわゆる措置方式)がとられたのである.これらの福祉制度は,貧困層を主な対象としていたため,税を財源として制度が構築されたが,その後,利用者層の拡大を図るなかで,利用者の一部負担制度が導入された.
今日,少子・高齢社会等を背景として,いままで社会福祉制度がサービスの対象としてきた「高齢者の介護」が,2000年4月から社会保険制度(介護保険制度)の給付対象となる.言い換えれば,介護保険制度の登場で,社会福祉制度のなかに初めて社会保険方式が登場することになったともいえる.
生活上必須のニーズを受け止めて解決してくれる制度が,社会保険制度であるか,社会福祉制度であるかによって,制度の持つ性格上の違いがどのように現れてくるのかを分析するとともに,それらの制度が果たすべき役割と課題について概観してみたい.
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