Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに―介護保険と医療保険改革との関係
介護保険の全面実施まであと3か月.リハビリテーション医療関係者の関心は,介護保険にどう対応するか,介護保険でリハビリテーション医療がどう変わるかという「短期的」事項に集中している.
しかし,筆者は,介護保険を医療保険抜本改革と「ワンセット」でとらえ,両者がリハビリテーション医療に与える「中長期的」影響を包括的に検討することも必要であると考えている.なぜなら,介護保険は,医療保険を含む「社会保障構造改革具体化の第一歩」であり,医療保険抜本改革の「実験」とも言えるからである1-3).
医療保険抜本改革は以下の4つを柱としている.①薬価制度の改革(原案では日本型参照価格制度の導入),②新しい診療報酬体系の構築(定額払いの拡大),③高齢者医療保険制度の創設,④医療提供体制の改革(急性期病床と慢性期病床の区分等),である.厳密に言えば④は医療保険改革ではなく,医療法改正(第4次)であるが,なぜか厚生省・マスコミは医療保険抜本改革に含めている.
この改革は,当初,2000年度に介護保険と同時に一気に実施される予定であった(「医療ビッグバン」).しかし現実には,筆者の予測通りそれは「幻」に終わった4).ただし,白紙撤回された①を除けば,②~④は数年後には実施される見込みである,そして,②と④はリハビリテーション医療にも重大な影響を与える.また,③高齢者医療保険制度と介護保険制度は,5~10年以内に合体・統合され,高齢者医療・介護保険制度となる可能性が大きい.1-3)
小論では,介護保険と医療保険改革がリハビリテーション医療(病院)に与える影響を,可能な限り具体的に予測し,最後にリハビリテーション病院に求められている二つの新しい選択について簡単に述べる.筆者の描く「将来像」はやや悲観的であるが,この予測は「世界一」厳しい医療費抑制政策が今後とも継続されることを前提としたものであり,筆者の考える「あるべき」将来像ではないことをお断りしておく5).
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.