介護保険制度と障害者施策をめぐる課題

The Issues in the Long-term Care Insurance System and the Measures for Persons with Disabilities.

はじめに

　平成12年度に開始される介護保険制度の下で要介護認定によってサービスを受ける者は広い意味で全て障害者といえるであろう．しかし，介護保険は全ての障害者を対象としているのではない．第1号被保険者および第2号被保険者に該当する障害者だけが対象とされている．介護保険におけるサービス給付の対象となる障害者（以下，被保険障害者）と対象とならない障害者（以下，若年障害者）それぞれに，現在，さまざまな課題がある．

　介護保険の対象とならない若年障害者について，厚生省は，障害者プランによってサービスの量と質を整備し，介護保険と遜色のないサービスを提供するとし，「障害者介護等サービス（ケアマネジメント）」についても，平成7年度から厚生省大臣官房障害保健福祉部を中心として，その実施方法等について検討が行われてきた．ちなみに，「介護」と「サービス」の用語の間に「等」を入れることにより，若年障害者が必要とするケアは介護保健におけるケアよりも広い概念であることを主張してきた．

　これまでの検討の経過を振り返るとともに，介護保険との関連における障害者施策の動向，被保険障害者の課題および若年障害者の課題などを明らかにしたい．